必要加湿量の求め方

加湿器の選定にあたっては、必要加湿量・価格・運転コストのほか、空気条件(温湿度・風量)や組込対象となる空調機の大きさなどを考慮しなければなりません。求める空気条件に必要となる能力を有する加湿器を選ぶためには必要加湿量の把握が必要であり、ここでは必要加湿量の求め方を解説します。

必要加湿量は、次の計算式で求めることができます。

 必要加湿量= SG × V ×(X2 - X1)× K
  SG:空気の密度(1.2kg/m³)
  V:風量(m³/h)
  X1:加湿前の空気の絶対湿度
  X2:加湿後の空気の絶対湿度
  K:安全率(1.2)

この計算式を使用し、次の設定条件で必要加湿量を求めてみます。

  • 【設定条件】
     ・加湿器取付対象空調機:エアハンドリングユニット
     ・使用加湿器:蒸気式加湿器
     ・室内空気温湿度(還気):22℃・50%RH
     ・外気温湿度:0℃・50%RH
     ・空調機全風量:10,000m³/h
     ・外気取入量:3,000m³/h
     ・還気量:7,000m³/h
     ・加湿後の空気温度:20℃
  •  
    必要加湿量の求め方
  • 【手順①】
    室内空気温湿度をⒶ、外気温湿度をⒷとします。また、ⒶとⒷの空気の混合比は7,000:3,000 = 7:3 なので、風量の多い還気Ⓐから混合比の逆比 3:7 となる位置を混合点Ⓒとして空気線図へプロットします。
    ※「空気線図の構成」「混合点の求め方」はそれぞれ前項を参照
  • 【手順②】
    混合点Ⓒからコイルによって加熱されるので、加熱後の空気Ⓓは絶対湿度一定線上20℃の点をプロットします。
  • 【手順③】
    Ⓓの空気は蒸気加湿され、乾球温度一定線上を変化(※)し、Ⓐからの絶対湿度一定の線との交点Ⓔが加湿後の送風空気になります。
    ※「加湿方式別に見た空気の状態変化(蒸気式)」を参照

以上が設定条件に基づく空気線図上の変化であり、設定条件を元に空気線図上へ必要となる点がプロットできました。ここから、必要加湿量を求めるための情報を読み取り、計算式へ代入します。

  • 【手順④】
    プロットした空気線図上から加湿前と加湿後の絶対湿度が読み取れるため、Ⓒの絶対湿度は0.0061kg/kg、Ⓔの絶対湿度は0.0082kg/kgということが分かります。これら数値を必要加湿量を求める計算式にあてはめると、
    SG × V ×(X2-X1)× K = 1.2 × 10,000 ×(0.0082-0.0061)× 1.2 = 30.24 ≒ 30.2kg/h

    よって、この設定条件で加湿を行うには、約30.2kg/h の能力を有した加湿器が必要となることが分かります。

業務用加湿器に関する
お問い合わせ

page
top