快適な空気環境のめやす
室内の快適条件(風速0.08~0.13m/s)
人の温冷熱感は年齢、性別、季節によって異なりますが、保健空調における温湿度のめやすは、およそ次の値で扱われます。
日本人 | アメリカ人 | ||
---|---|---|---|
夏期 | ET | 21±2℃ | 21.5±2.4℃ |
RH | 40~60% | 30~70% | |
冬期 | ET | 18±2℃ | 19.5±2.2℃ |
RH | 45~65% | 30~70% |
ET:有効温度(Effective Temperature)
RH:相対湿度(Relative Humidity)
空気環境にかかわる維持管理基準
ビルの衛生環境を向上させ、環境衛生上良好な状態を維持・管理することを目的とした「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則」(略称:建築物衛生法)では、室内空気環境の調整の基準について、以下のように定めています。
浮遊粉じんの量 | 空気1m³につき0.15mg以下 |
---|---|
一酸化炭素の含有率 | 6ppm以下 |
炭酸ガスの含有率 | 1,000ppm以下 |
温度 | (1)18℃以上28℃以下
(2)居室の温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと |
相対湿度 | 40%以上70%以下 |
気流 | 0.5m/s以下 |
ホルムアルデヒドの量 | 空気1m³につき0.1mg以下 |
産業別、対象別の空調温湿度条件
産業空調においては、概して年間を通じて一定の温湿度を必要とすることが多く、下表はその目安です。
※ 参考文献により、温湿度の値は若干の相違があります。
産業分野 | 対象・工程・品名など | 温度(℃) | 湿度(%) | 加湿の目的 | |
---|---|---|---|---|---|
青果物貯蔵 | 低温貯蔵庫
(恒温恒湿庫) |
キャベツ
ダイコン ニンジン ホウレンソウ レタス イチゴ |
0 | 90~95 | 貯蔵品の表皮からの物理的な水分蒸散を抑え、鮮度を保持する。なお、呼吸作用による水分蒸散を抑えるには低温を保つ。
(野菜にはおよそ90%前後の水分が含まれており、その内の5%が失われると、商品価値がなくなるといわれている) |
カボチャ | 10~13 | 70~75 | |||
サツマイモ | 13~16 | 85~90 | |||
ピーマン | 7~10 | 90~95 | |||
リンゴ | 0 | 90~95 | |||
モモ | -0.5~0 | 90 | |||
温州ミカン | 5 | 85~90 | |||
オレンジ | 0~9 | 85~90 | |||
バナナ | 16 | 85~90 | |||
穀類貯蔵 | 米(玄米) | 15以下 | 68~75 | 水分含有率を保つことによる食味の維持、目減り防止、割れの防止
(米の水分含有率はおよそ13~15%である) |
|
肉
魚 乳製品 一般食品 |
豚肉・牛肉(冷蔵) | -1~1 | 85~90 | 貯蔵品の表面からの水分蒸発を抑え、鮮度を保持し、目減りを防ぐ
(食肉にはおよそ75%前後の水分が含まれており、肉の表面が乾くと肉色が悪くなったり変質の原因になる) |
|
鮮魚 | 0.5~1.5 | 90 | |||
チーズ | -0.5~7 | 65~70 | |||
ハム | 0~1 | 85~90 | |||
きのこ栽培 | ブナシメジ | 培養
熟成 芽出 生育 |
20~23
24~25 15~16 14~15 |
67~70
70~75 90~95 85~90 |
栽培過程に適した湿度環境をつくる
(ビンやキノコの表面に水滴がつかないように、加湿の水粒子は細かいほどよい) |
切り花貯蔵 | 低温貯蔵 | - | 0 | 95以上 | 気孔、花弁からの水分蒸散を抑える |
博物館
美術館 図書館 |
博物館 | 21.1~22.2 | 50~55 | 収蔵品が変質・変形しないように、保存環境をつくる
(収蔵品の材質などにより保存環境は異なる) |
|
美術品の収蔵 | 18.5~22.2 | 50(±2) | |||
図書館 | 21.1~23.3 | 40~50 | |||
印刷工場 | 多色オフセット印刷、
グラビア印刷 |
24~27±3 | 46~48±2 | 紙の吸放湿による伸縮を抑える、静電気を防止する
(紙の水分含有率は5~7%前後である) |
|
写真製版 | - | 50 | |||
電子製版 | 20~23±1.5 | 55±5 | |||
食品工場 | パン工場 | 小麦粉貯蔵 | 18~27 | 50~65 | 品質の保持、適度な発酵条件をつくる
包装は静電気の防止 |
発酵 | 24~27 | 70~75 | |||
包装 | 16~18 | 60~65 | |||
ビール工場 | ホップ貯蔵 | -1~0 | 55~62 | 品質の保持 | |
繊維工場 | 木綿製織 | 26~27 | 70~85 | 繊維の吸湿安定による可紡性の維持と
糸切れの防止 静電気の防止 |
|
ウール製織 | 26~29 | 60~75 | |||
ナイロン製織 | 26~27 | 50~60 | |||
情報施設 | データセンター、サーバールーム | 15~32 | 20~80 | 精密機器の機能維持(米 ASHRAEガイドライン) | |
空冷式CPU室内条件 | 10~35 | 20〜80 | 精密機器の機能維持 ※空冷式CPUの室内条件はメーカー例 |
||
通信機器室(夏)
(冬) |
27
20 |
50
50 |
精密機器の機能維持、在室者の快適性 | ||
音声スタジオ(夏)
(冬) |
26
19 |
55
50 |
精密機器の機能維持、在室者の快適性 |
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