失注目前からの逆転受注に向けて
建設中の教育施設向けAビルとの商談が始まった当初、すでに他社製加湿器の納入がほぼ決まっていた。この極めて不利な状況を覆し、逆転受注という成果を生み出した営業活動の全貌とは。
大学では経営学を専攻し、新卒でウエットマスターへ入社。就職活動時から希望していた営業本部へ所属となった。入社直後は空調機メーカーを数社担当。その後、弊社代理店である商社向け営業グループへ異動し、現在に至る。
今回加湿器を納入したのは、教育施設向けの「Aビル」。商談当初、空調設備の設計図面にはすでに競合他社の加湿器が指定されており、逆転受注を勝ち取るには困難な状況でした。しかし、この案件は受注規模が非常に大きく、どうしても弊社製品を受注したいという強い思いが私にはありました。
何か糸口はないかと担当の施工業者様を確認してみると、弊社とはあまり取引がないことがわかりました。だからこそ、「弊社の製品のメリットを知っていただければ、再検討してもらえるかもしれない」と考え、この状況を覆すために行動をはじめました。
営業活動の中で私が担当するお客様は、弊社製品の代理店である空調設備商社様であり、施工業者様とは私が直接的に接点を持てる立場ではありません。そのため、まずは普段からお世話になっている商社の担当者様に協力をお願いすることにしました。その結果、「ぜひ、受注に向けて一緒に動きましょう!」とご快諾いただき、日頃のお客様との関係構築がいかに大切かを改めて実感しました。
商社担当者様の協力のおかげで、施工会社の設計担当者様と直接お話しできる機会をいただき、これにより、実際に機器を選定している担当者様の声を聞き、私たちの製品の強みを直接アピールする道が開けたのです。
商社担当者様の協力で、ようやく設計担当者様と面会できましたが、最初の反応は芳しくありませんでした。すでに設計図面は完成しており、今から仕様を変更するには膨大な手間と時間がかかります。工期や費用、加湿量の再計算など、設計担当者様には大きな負担がかかるからです。そこで、私はすぐに製品の提案はせず、まずは関係構築に力を注ぎました。
世間話から少しずつ距離を縮めていく中で、私は「加湿に関するお困りごとはありませんか?」と尋ねました。すると、そのうちの一つが、まさに弊社の製品で解決できる課題だったのです。この突破口を活かし、何度か資料を使って具体的な解決策を提案しました。その結果、設計変更の手間を上回るメリットを理解していただけました。こうして、製品を再検討してもらう土俵に立つことができたのです。
弊社加湿器を導入することで生まれるメリットに対するご理解と金額や納期についての交渉を経て、設計変更が決定し、正式にご発注いただくことができました。しかし、私の仕事はそこで終わりではありません。今回の施工業者様は、加湿器を扱う機会が少ないとのことだったため、受注後のフォローにも力を入れました。建物の施工から、オーナー様への引き渡し時の操作説明まで、きめ細かくサポート。その結果、引き渡し後には「ウエットマスターの加湿器にして良かった」と感謝の言葉をいただけました。
当初、私が動くことでお客様に迷惑をかけてしまうのではないかという不安もありましたが、実際はお客様にはご満足いただき、会社の利益にも繋がったことで、営業の仕事の面白さを改めて実感しました。「何もしなければゼロのまま。しかし、動けば状況は変えられる。」この経験は、私にとって大きな自信となりました。
ナレッジセンターは、普段触れる機会の少ない業務用・産業用加湿器を実際に”見て、触れて、学べる”体験施設です。訪れる人によって、見え方も価値も変わる、そんな多面的な施設を目指しています。様々な種類の加湿器を展示しているため、初めて業務用・産業用加湿器に触れる方には、加湿器が暮らしや仕事にどう役立つのかをリアルに体感していただけます。
実物に触れながら、設置方法や部品、構造を直接見ることもできるので、施工業者様・設計担当者様は、現場でのイメージをより具体的に描くことが可能です。ナレッジセンターで開催している「加湿セミナー」もご好評をいただいております。
さらに、社外のお客様だけでなく、社員や協力会社向けの研修施設としても活用し、製品への理解を深める場として役立てています。