INDEX
加湿に関する用語解説
「加湿効率」「有効加湿量」とは
「加湿効率」は、気流中に噴霧される水量または気化蒸発量、蒸気量の内、実際にどれだけの量が空気に付加されたかを表します。また、実際に付加された量を「有効加湿量」といいます。
では、加湿方式別に加湿効率の求め方を見ていきましょう。
気化式加湿器の加湿効率
気化式加湿器は、水を含んだ加湿モジュール(加湿材)と気流との接触により気化蒸発する水分はすべて空気に付加されるため、加湿効率は100%とみなします。加湿能力については、気化式の特性で空気の温湿度および風量によって変動するため、加湿器の型式ごとに能力条件を設定して、「標準加湿能力」で表示します。
蒸気式加湿器の加湿効率
蒸気式加湿器の加湿効率は、「およそ」100%とみなします。「およそ」としている理由は、空気の温度が低いときは、噴霧された蒸気は空気によって冷やされて凝縮し、水滴となって空気に付加されないことがあるからです。
蒸気式加湿器の加湿効率の求め方
加湿能力については、電力利用型蒸気発生器など加湿器自体で蒸気を発生する機種では「蒸気発生量」とし、供給蒸気(ボイラなどから供給される一次蒸気など)をそのまま噴霧する機種では「蒸気噴霧量」で表示します。
水噴霧式加湿器の加湿効率
水噴霧式加湿器の加湿効率は、噴霧する水の粒径が大きくなれば、未蒸発分の落下やエリミネータ※で捕捉される量は多くなり、効率は低下します。
水噴霧式加湿器の加湿効率の求め方
加湿能力については、超音波式では「霧化量」、高圧スプレー式では「噴霧量」で表示します。
※エリミネータ:空調機などに設置され、空気の流れに添って飛散する水滴を防ぎ、液滴を除去する装置のこと。
「飽和効率」「必要飽和効率」「適用飽和効率」とは
飽和効率
加湿による空気の状態変化の中で、飽和点(相対湿度100%)に至るまで、どこまで加湿できるかを表す目安のことです。加湿方式別に空気線図で見てみましょう。
①の空気の状態から湿球温度一定の線上を②まで加湿できたとします。次に②の状態点から延長していくと飽和点③に至ります。この②-①と③-①の線分比が飽和効率です。
【例】下記条件の空気状態を空気線図上へプロットすると次のようになります。
・加湿前の空気:30℃・20%RH(Ⓐ)
・加湿後の空気:23℃・45%RH(Ⓑ)
次に空気線図上のⒶからⒷへ加湿できたとして、飽和点Ⓒ をプロットします。空気線図上から必要な数値を読み取ったうえで、上述の飽和効率を求める計算式に各数値を代入すると、飽和効率=(0.0080-0.0052)/(0.0112-0.0052)×100≒47% となります。
蒸気式加湿器の飽和効率
飽和効率は、どの加湿方式を採用するかの重要な要素になります。空調設計の中で必要飽和効率が低ければ容易に加湿することができますが、飽和効率が高くなるほど加湿は難しくなり、適用する加湿器の種類が限定されます。必要飽和効率が30%程度であれば、3種類の加湿方式すべてで対応できますが、50%あるいは80%と高くとる必要がある場合は、気化式あるいは蒸気式で選定することになります。
【例】下記条件の空気状態を空気線図上へプロットすると次のようになります。
・加湿前の空気:30℃・20%RH(Ⓐ)
・加湿後の空気:30.3℃・30%RH(Ⓑ)
次に空気線図上のⒶからⒷへ加湿できたとして、飽和点Ⓒ をプロットします。空気線図上から必要な数値を読み取ったうえで、上述の飽和効率を求める計算式に各数値を代入すると、飽和効率=(0.0080-0.0052)/(0.0326-0.0052)×100≒10% となります。
必要飽和効率
空調条件で必要とされる飽和効率のこと。
絶対湿度が同じ場合、温度が低い方が必要飽和効率は高くなります。
適用飽和効率
必要飽和効率に対し、適用可能な加湿器(機種)方式固有の飽和効率(高圧スプレー式:最大30%程度、超音波式:最大50%程度、気化式:最大80%程度)のこと。
「給水有効利用率」とは
給水有効利用率の求め方
気化式加湿器の給水有効利用率
加湿モジュールの洗浄を目的として、加湿量プラスアルファの給水を行うため、その量が給水有効利用率に影響します。
蒸気式加湿器の給水有効利用率
電力利用型蒸気発生器等は、タンクや水槽など、蒸気発生部の水質管理やスケール対策のブロー量、蒸気噴霧管で発生するドレン量が給水有効利用率に影響します。
供給蒸気(ボイラなどから供給される一次蒸気など)をそのまま噴霧する機種では、給水はないため給水有効利用率はあてはまりません。
水噴霧式加湿器の給水有効利用率
噴霧する水の粒径が大きくなれば、未蒸発分の落下やエリミネータで捕捉される量は多くなり、給水有効利用率に影響します。
「蒸発吸収距離」とは
気流中に噴霧される水分量が空気に吸収されるまでの距離を表します。加湿器を組み込む空調機の大きさにより、選定時の注意が必要です。
気化式加湿器の蒸発吸収距離
水分は加湿モジュールで気化蒸発するため、蒸発吸収距離は不要です。この特長を生かして、コンパクトな空調機にも組み込みが可能です。
蒸気式加湿器の蒸発吸収距離
風量と空気の温度によりますが、およそ30℃以下の空気の場合は、噴霧蒸気が凝縮することがあり、エリミネータの設置が必要です。
水噴霧式加湿器の蒸発吸収距離
高圧スプレー式は噴霧する水の粒径が比較的大きいため、相当の蒸発吸収距離が必要になります。また、エリミネータの設置が必要です。超音波式は空調機が狭く蒸発吸収距離が取れない場合や、およそ30℃以下の空気の場合は、エリミネータの設置が必要です。

