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加湿の必要性
暖房と加湿
空気中の水蒸気量が一定の条件では、空気温度を上げると湿度(以下、単に湿度というときは相対湿度を表すものとします)は低下します。これは室内の暖房でも同じことが言えます。特に取入外気の湿度が低いときにはより一層、加湿をしなければ室内は極端な湿度低下をまねきます。
【例】室内温湿度10℃・50%、外気温湿度0℃・30%の空気条件で、単純に全風量の20%の外気を取り入れて温度を20℃まで上げると、室内の湿度は20%にまで低下します。
湿度不足が引き起こす問題について
湿度不足により空気が乾燥すると、人の健康や快適性に障害を生じるばかりでなく、生産効率の低下や物品の品質劣化など、さまざまな悪影響が発生します。そして、これらの問題は基本的に次の3つに分けられます。
健康と快適性

健康面では空気の乾燥により呼吸器系の粘膜を傷め、風邪などのウイルスが体内に入りやすくなります。厚生労働省のWebサイトに掲載されている急性呼吸器感染症総合対策ページのQ&Aでは、「空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、急性呼吸器感染症にかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。」と説明されています。

快適性の面では、空気が乾燥すると体からの水分蒸散量が増すため、暖房をしても体感温度は低くなります。適度な湿度であれば、室温が20℃でも25℃の暖かさを感じるといわれており、暖房の設定温度が下げられれば省エネルギーにもつながります。
髪や肌など美容面の影響もあります。健康な髪の水分量はおよそ11~13%、髪はかつて湿度計に利用されるほど水分の吸放湿が大きく、乾燥するとパサついてつやを失い、美しさを保てません。肌についても、水分量が10%以下になるとドライスキンといわれる状態になり、肌あれやかゆみの原因になります。
水分の蒸発・蒸散
秋冬の湿度変化と水分蒸発量の変化
紙や繊維などの吸湿性を有する材料は、空気が乾燥すると水分が奪われて物品としての特性は変化し、品質管理上の問題になります。吸湿性材料としての紙は、水分の吸放湿によって伸縮します。また重ねておくと水分は端の方から失われていくため、反り上がりを生じたりします。
また、青果物などの食品類も空気が乾燥すると水分が奪われ品質の低下をきたします。一度水分を失うと元の品質に戻すことはできません。野菜は90%前後の水分を含んでおり、その5%が減少すると、商品価値がなくなるといわれています。鮮度を保つには、概して低温と高湿度が必要となるのです。
静電気

静電気は摩擦によって生じ、空気が乾燥すると帯電しやすくなって、不快な電撃を起こします。これは、人々へ不快感を与えるだけでなく、印刷機械やコピー機の紙づまりの原因となったり、生産機械の停止による生産効率の低下や、コンピュータの回路の故障や誤動作、製薬工場の粉体付着、織物・被服工場の繊維の絡みなど、快適な産業空調を損なう様々な原因にも繋がります。湿度をおよそ60%に保てば帯電体の比抵抗が減少し、静電荷は放出されて静電気の発生を抑えられます。
加湿の用途と目的について
「空気調和とは」の項目で、空調には保険空調と産業空調があること、また「湿度不足が引き起こす問題について」では湿度低下が引き起こす様々な問題を未然に防ぐために加湿は重要な役割を持っていること、加湿の必要性が理解してもらえたと思います。では、様々な用途・目的で使用される加湿器はどのように分類されるのでしょうか。加湿の目的とともに下記表へまとめます。
| 用途別分類 |
加湿の用途 |
加湿の目的 |
|---|---|---|
| 業務用加湿器 | オフィス、学校、ホテル、病院、工場など各職域の加湿 | ・職域の就労者、来訪者の健康維持(風邪の予防、呼吸器官の保護、肌あれ防止) ・静電気防止 |
| 産業用加湿器 | (1)きのこ等農産物栽培用の加湿 (2)米・青果物・肉類等の貯蔵用の加湿 (3)印刷・繊維・食品・電子部品工場等の製造加工工程の加湿 (4)電算機室・通信機械室・その他精密機器設置室の加湿 |
(1)栽培環境の提供 (2)貯蔵品の鮮度保持 (3)製造・加工製品の品質管理、静電気防止 (4)設置機器の機能維持、静電気防止 |
| 家庭用加湿器 | 一般住宅用の加湿 | ・居住者の健康維持〔風邪の予防、呼吸器官の保護(特に病人・幼児・高齢者)・肌あれ防止・美容効果〕 ・静電気防止 |

